僕、何か持ってったっけ?
バーリマンさんは、僕が持ってったものでベニオウの実の皮がお薬になるんじゃないかなぁって思ったんだよって教えてくれたんだ。
でもね、僕、お薬になりそうなものなんて何にも持ってってないんだよね。
だから何の事だろうって頭をこてんって倒したんだけど、そしたらそんな僕を見たバーリマンさんが話会いながら教えてくれたんだ。
「あら、ルディーン君は忘れてしまったのかしら? 村に帰るからって、ロルフさんの分もこのギルドに預けて言ったじゃないの」
「預けてったもの? って、あっ! そっか。ベニオウのお酒を持ってきたっけ」
こないだイーノックカウに来た時ね、お父さんがアマンダさんのお酒を飲んじゃったもんだからお兄ちゃんたちともういっぺん森に行って、そこでお酒をいっぱい作ってきたんだよ。
でね、ロルフさんやバーリマンさん委はいっつもお世話になってるからって、村に帰る前に錬金術ギルドによっておいてったんだ。
「ええ、そうよ。あのお酒はベニオウの実と同じようにとても美味しいけど、とても強いでしょ? だから私もロルフさんも、ベニオウの実がポーションになるのではないかと気が付いた時点でもまだ残っていたのよ」
「うむ。それでじゃ、改めてベニオウ酒を調べたところ、前にルディーン君から教えてもらった肌用のポーションに含まれておる薬効と共通しておるものが多く見つかったと言う訳じゃ」
お肌つるつるポーションに使えるかも? って思ったロルフさんたちはね、もうちょっと詳しく調べてみようって思ったんだって。
でね、そしたらお酒の中の成分には、もうお薬になるくらいの魔力が入ってたそうなんだよ。
「残念ながら必要な薬効が足りておらんがために、あの酒を肌に塗ったとてポーションほどの効果は得られなんだ。じゃがな、それでも一定の効果は出たのじゃ」
「でも、あのお酒はルディーン君から貰ったものだから、それほど量が無いでしょ? だから私たちは、市場で売られているベニオウ尾の実を取り寄せて調べてみたのよ」
もしかしたら、売ってるベニオウの実でもお薬が作れるかもしれないでしょ?
だから調べてみたそうなんだけど、そしたらお肌にいい成分は皮の方に入ってたんだってさ。
「ただ残念な事に、市場で売られているベニオウの実の皮には殆ど魔力が入っていなくてね」
「うむ。その上、薬効の数もわしやギルマスが注げる数を越えておったために、やはりポーションにする事はできなんだのじゃよ」
前にロルフさんたちが言ってたけど、お肌をつるつるにするお薬は僕が作ったの以外は聞いた事が無いんだって。
だからもし売ってるベニオウの実の皮から煮出した汁でポーションが作れたら、それだけでも欲しがる人はいっぱいいるんだよってロルフさんは言うんだ。
それだけにポーションにできないって解った時は、二人ともすっごくがっかりしたそうなんだよ。
「でも、悪い事ばかりではないのですわよ。だって、森の奥になっているベニオウの実を手に入れられるようになれば、それを使って肌用のポーションが作れるという事ですもの」
「うむ。それにな、わしらでは注げないほど多くの成分に魔力が入っているからこそ、それに加えた薬効に魔力を注ぐだけで肌用ポーションが作れるのじゃからな」
そう言えば、僕たちが持ってきたベニオウの実には魔力がもう入ってるんだもんね。
それが手に入ればすぐにでも簡単な肌用のお薬ができるって事だし、ベニオウの実の皮に入ってない成分をセリアナの実から錬金術で抽出して、その二つを混ぜてから魔力を注げばお肌つるつるポーションだってできちゃうよね。
「そっか。ルルモアさんも冒険者ギルドで森の奥のベニオウの実を採りに行ける人を探すって言ってたし、もうちょっとしたら作れるようになるかも」
「その通りじゃ。そしてな、君から貰ったお酒を調べて、もう一つ嬉しい発見があったのじゃよ」
「うれしい事?」
「うむ。なんと、ベニオウの実の皮に含まれる一部の薬効は、熟成させることにより髪の毛にも効果がある事が解ったのじゃ」
僕が作った髪の毛つやつやポーションは、セリアナの実の油に卵とはちみつを混ぜて作るでしょ?
だからお肌つるつるポーションより魔力を注ぐ成分が多くなっちゃうから、作るのがとっても難しいんだよね。
でも森の奥になってるベニオウの実だったらもう魔力が十分に入ってるし、熟成は発酵や醸造と違って使える料理人さんも多いから、ベニオウの実が採れたら簡単に作れるんだってさ。
「流石にルディーン君が作ってくれたものほどの効果はないであろうが、それでも髪のつやを増す一定の効果はあるようじゃ」
「それにね、熟成させた後の皮をセリアナの実から抽出した成分と混ぜて作ったポーションなら、髪の毛が生える効果も多少あるのではないかと私たちは考えているの」
髪の毛つやつやポーションをかけると、お爺さん司祭様みたいに頭がつるつるの人でも髪の毛が生えてくるでしょ?
あれはお肌つやつやポーションの効果で髪の毛が生えるとこがちょっと若返るのも、その効果が出る理由の一つなんだよってバーリマンさんは教えてくれたんだ。
だからベニオウの実の皮も、お肌つるつるポーションとおんなじ成分を入れたら髪の毛が生えてくるんじゃないかな? って思ってるんだって。
「まぁ髪の毛が生えてくるかどうかは、まだ予想の段階でしかないがな」
「でもそうなれば、一つの懸案事項は片付くのですけどね」
ロルフさんとバーリマンさんは、小さくため息をつきながらそう言ったんだよね。
そしたらそれを見たお爺さん司祭様が、不思議そうにこう聞いたんだよ。
「ヴァルトよ。懸案事項とは何だ? 話の内容からすると、どうやら髪の毛用のポーションにかかわっておる事のようだが」
「はぁ。おぬしがそれを聞くか」
でもね、それを聞いたロルフさんはさっきより大きなため息をついて、
「そもそもの始まりは、おぬしが原因なのじゃぞ」
そう言って困った顔しながらお爺さん司祭様の方を見たんだ。
急遽日月と出張が決まってしまったためにちょっと短めです。
さて、ベニオウの実だけでなくルディーン君が作ったお酒にまで特別な効果がありました。
とは言ってもルディーン君がやったほどの強い熟成をやらなくても効果が出るようなので、こちらは二つのポーションのようにルディーン君にしか作れないと言う訳ではないようですが。
でもまぁ、今のところカールフェルト家にしか魔力入りのベニオウの実を採りに行ける人はいないようなので、。この場ではやはりルディーン君がいないと作れないんですけどねw